空き家特例の適用要件についてよくある質問をQ&Aで徹底解説
はじめに
空き家特例とは、一定の条件を満たすことで、相続した空き家の売却時に最大3,000万円の譲渡所得控除が受けられる制度です。
ただし、適用には複数の要件があり、誤解されやすいポイントも多くあります。
この記事では、よくある疑問をQ&A形式で整理し、法令根拠とともにわかりやすく解説します。
空き家特例の要件まとめ
以下の要件をすべて満たす必要があります。
◆空き家特例の主な適用要件一覧
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・区分所有建物(マンション等)ではないこと
・相続開始直前に被相続人以外が居住していないこと
・相続開始時から売却時まで空き家であること
・売却した翌年2月15日までに建物の耐震改修工事又は取り壊しを行うこと
・相続人が家屋と敷地を相続していること
・譲渡価額が1億円以下であること
・譲渡先が親族などの「特別の関係者」でないこと
・相続開始から3年を経過する年の12月31日までに譲渡する
・他の税制特例(取得費加算、収用特例等)を併用していないこと(併用できる特例もある)
空き家特例 Q&A
Q1. 登記事項証明書において昭和56年6月1日以降の建築年月日になっているが旧耐震の建物です。
→適用可能です。建築確認済証・建築計画概要書・台帳記載事項証明書等で確認済証が昭和56年5月31日以前に交付されたことを証明する書類を提示します。なお、建築計画概要書や台帳記載事項証明書は対象不動産を管轄する役所で取得可能です。(役所毎の保存状況等にもよって必ず取得できるわけではなりません)
根拠:措通35-26(2)・措規18-2-2-二-イ(Ⅱ)
Q2. 昭和56年5月31日以前に新築し、昭和56年6月以降に増築した場合、増築した部分も適用されますか?
→適用されます。
仮に大部分が増築されていても、元々の母屋と一の建築物であるならば全体に空き家特例の適用があります。
Q3. 二世帯住宅でも区分登記がされていない場合は適用されますか?
→適用されます。
例え完全分離型の二世帯住宅であって、区分登記がいつでもできる構造になっていたとしても、区分登記がされていなければ、特例の適用要件は満たせます。
根拠:措通35-11・措法35-5-2
Q4. 住民票は空き家にあったが、実際には息子宅で亡くなった場合、適用されますか?
→適用されません。
実際の居住実態が空き家にない場合は、形式的な住民票では認められません。なお、居住実態が空き家→息子宅→一定の適用要件を満たす老人ホームであった場合、老人ホーム入所前の生活拠点がどこであったかがポイントになるため、それが息子宅ということならば適用されないことになります。
根拠:措法35-5
Q5. 相続後に親戚が無償で住んでいた場合、適用されますか?
→適用されません。
相続後に第三者が居住した場合は、事業・貸付・居住の用に供されたとみなされます。
根拠:措法35-3
Q6. 家屋は相続人が元々保有しており、土地のみ相続した場合、適用されますか?
→適用されません。
家屋と敷地の両方を相続により取得していることが必須です。
根拠:措法35-3
Q7. 家屋と土地を共有名義で相続した場合、適用されますか?影響は?
→適用されます。
ただし、譲渡対価の合計が1億円以下であること、各人が要件を満たす必要があります。また、対象不動産を相続した人が3人以上になる場合には控除額が1人当たり3,000万円から2,000万円に減額されます。
根拠:措法35-4
Q8. 譲渡対価に含まれるものは?
土地・建物の売却代金はもちろん、譲渡協力金・移転料等のような名義のいかんを問わず、実質的に譲渡の対価といえる金額は含まれるので注意が必要です。例えば、建物の解体費用や測量費用を買主が負担する代わりに売買金額を調整する場合はそれら費用も譲渡対価に含まれると考えられます。
根拠:措通35-19
Q9. 共有名義で相続した場合、譲渡対価は1人単位でみなされますか?
→1人単位ではなく、全体で1億円以下かどうかで判定されます。
個人ごとの持分ではなく、共有者全体の譲渡価額で判断されます。
根拠:措法35-3
Q10. 特例の適用が認められない譲渡先の特別関係者とは具体的にどこまでの範囲ですか?
配偶者及び直系血族、生計を一にしている親族、適用対象者とその家屋に居住を予定している親族、内縁の者及びその内縁の者と生計を一にしている親族、適用対象者から受ける金銭によって生計を維持している者及びその者と生計を一にしている親族、法人の場合は役員や出資関係がある場合も該当します。
根拠:措法35-2
Q11. 売買契約は適用期限内、引渡は適用期限後の場合、契約日を譲渡日とし特例を適用することは可能ですか?
→可能です。
契約日か引渡日のどちらかを譲渡日に採用するかは選択ができることとなっています。
根拠:措通35-9-4
Q12.他特例との併用における適用可否について教えてください
- 小規模宅地の特例→併用可
- 相続税取得費加算の特例→併用不可
- 住宅ローン控除→併用可
- マイホーム控除→同一年中に併用する場合は合わせて3,000万円が上限。年が異なればそれぞれ3,000万円を上限に適用可。
根拠:措通35-7
まとめ
空き家特例は、相続不動産の売却時に大きな節税効果が期待できる制度です。
ただし、適用には複数の要件があり、実態・登記・契約内容など細部の確認が不可欠です。
誤解しやすいポイントも多いため、法令根拠をもとに慎重に判断しましょう。
共有相続や譲渡先の関係性にも注意が必要です。
不安がある場合は、税理士など専門家への相談をおすすめします。