空き家特例適用の対象者について解説

空き家特例適用における要件の一つに、どのように相続したかを問われる項目があります。単に相続といってもその内容は様々であり、代襲相続・包括遺贈・特定遺贈・代償分割・換価分割等があります。どのように相続するかによって空き家特例の適用可否に影響が出ますので、本記事についてはその点を解説していきます。

なお、空き家特例の制度全般について解説を行っている記事がありますので、そちらも併せてご覧くださいませ。

https://tomorrowstax.com/knowledge/202107189172/

また、本記事において論点としている事項以外は全て空き家特例の適用要件を満たしているものとします。

 

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1.被相続人居住用家屋及びその敷地等の両方を相続等により取得していること

 租税特別措置法第35条3項において以下の定めがあります。

「相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人」

つまり、被相続人居住用家屋及び敷地等の両方を相続等により取得する必要があります。

なお、敷地「等」となっているのは、敷地の上に存する権利(借地権等)の譲渡も対象になるため、等という表記になっています。また、相続「等」となっているのは、遺贈や死因贈与も含まれるためそのような表記になっています。

 

2.包括受遺者は適用可・特定受遺者は相続人以外の者は適用不可

租税特別措置法第35条3項において以下の定めがあります。

「相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。)

つまり、対象になる者は相続人または包括受遺者になるということです。もう少し細かく解説しますと、遺言書がある場合とない場合において以下のように分類ができます。

【遺言書がある場合】

→包括受遺者である場合、相続人及び相続人以外の者も適用可。特定受遺者である場合、相続人は適用可だが相続人以外の者は適用不可。

【遺言書がない場合】

→相続人のみ適用可。仮に遺産分割協議において相続人以外の者が対象不動産を取得しても空き家特例は適用不可。

なお、「相続人」の定義については、法定相続人のうち、実際に遺産を相続した人であり、相続放棄した人は含まれません。

 

3.代襲相続は適用可

代襲相続というのは、被相続人の子が相続開始以前に亡くなってしまった又は欠格事由に該当する等した場合に、その者の子(被相続人から見て孫)があたります。又は被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合に、その兄弟姉妹が相続開始以前に亡くなってしまった等の場合に、その者の子(被相続人から見て甥姪)があたります。

代襲相続人は相続人に該当しますので、空き家特例の適用要件を満たすことになります。

 

4.代償分割による取得は適用可

代償分割とは、対象不動産を取得する代わりに代償金を支払う旨定めた遺産分割方法です。もちろん、相続人が取得することが前提ですが、こちらは適用可能です。

但し、遺産分割協議書の内容によっては、代償分割ではなく換価分割と認定されてしまうことがあるので注意が必要です。

 

5.換価分割(相続人複数・登記名義人は1名)による取得は適用可

換価分割とは、相続した不動産を売却して現金化し、相続人間で平等に分け合う形式の遺産分割方法です。実務では、不動産売却の手続きを簡略化させるため、複数人いる相続人の内、代表者1名を登記名義人に定めるケースがあります。この場合でも、換価分割により財産を取得する相続人全員が空き家特例の適用が可能となります。

 

6.最後に

遺言による場合は相続人が内容を修正できるものではありませんが、遺産分割協議については相続人間の話し合いで決定していくものになりますから、空き家特例の適用を検討されている方はその相続方法等について注意する必要があります。本記事に記載されていること以外にも、空き家特例には様々な適用要件がありますので、ご不明な点やご心配されていること等がありましたらお気軽に当社までお問合せくださいませ。本記事が何か少しでも皆様のお役に立てば幸いです。